DevOpsエンジニアとは、開発チームと運用チームの間に立ち、CI/CDパイプラインの設計・インフラの自動化・クラウド環境の管理を担うエンジニアです。
従来の「開発は開発部門が、運用は運用部門が担う」という分業体制の壁を取り払い、ソフトウェアのリリースを週次・日次レベルで行えるようにするのが主な役割です。
2026年現在、日本のIT企業でもDevOpsの導入が加速しており、クラウドエンジニアやインフラエンジニアからDevOpsへのキャリアチェンジが最もスムーズなルートとなっています。
DevOpsはツールや技術だけでなく、CALMS(Culture・Automation・Lean・Measurement・Sharing)の5原則が根幹にあります。
DevOpsエンジニアとは何か
DevOpsエンジニアの役割と仕事内容
DevOpsエンジニアの仕事は大きく3つに分けられます。CI/CDパイプラインの構築・管理、インフラのコード化(IaC)、そしてクラウド環境の運用です。
開発者がコードをプッシュしてから本番環境にデプロイされるまでの流れを自動化・効率化するのがメインの仕事です。
担当する業務は次のとおりです。
- CI/CD構築:GitHub Actions、Jenkins、GitLab CI/CDを使ったパイプライン設計と運用
- インフラ自動化:Terraform、AnsibleによるInfrastructure as Code
- クラウド管理:AWS、GCP、Azure上のリソース設計・コスト最適化
- コンテナ基盤:Docker、Kubernetesによるコンテナオーケストレーション
- 監視・ログ:Prometheus、Grafana、ELK Stackによる可観測性の確保
- セキュリティ:DevSecOpsの観点でパイプライン内にセキュリティチェックを組み込む
DevOpsの5原則(CALMSとは)
DevOpsの本質は「ツールを使えること」ではなく、チームの文化と働き方を変えることです。CALMSという5つの原則がその根幹です。
| 原則 | 内容 | 実践例 |
|---|---|---|
| Culture(文化) | 開発・運用が同じチームとして連携する | 週次の合同ふりかえり会 |
| Automation(自動化) | 繰り返し作業を自動化してミスを減らす | CI/CDパイプライン構築 |
| Lean(無駄排除) | 価値を生まない手順を削る | 手動デプロイ手順の廃止 |
| Measurement(測定) | 数値で改善の効果を確認する | デプロイ頻度・障害復旧時間の計測 |
| Sharing(共有) | 知識・ノウハウをチーム内外に公開する | 障害レポートの社内公開・OSSへの貢献 |
DevOpsエンジニアの需要が高まる理由
経済産業省の調査によると、2030年には国内のIT人材が最大79万人不足すると試算されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2023年)。
特にクラウド・DevOpsスキルを持つ人材は慢性的に不足しており、転職市場での需要は右肩上がりです。
3領域を跨ぐスキルセットが希少性を高める
DevOpsのスキルは「インフラ」「開発」「自動化」の3領域に跨るため、習得コストが高い分だけ市場での希少性も高いです。特にTerraform + Kubernetes + AWS の組み合わせを実務で使える人材は、転職市場で非常に有利な立場に立てます。
DevOpsエンジニアとSREの違いは何ですか?
転職を考えると「DevOpsとSREどちらを目指すべき?」という疑問が必ず出てきます。似ているようで、求められる思考と仕事のスタイルが違います。
それぞれの役割の違い
| 項目 | DevOpsエンジニア | SREエンジニア |
|---|---|---|
| 主な関心 | 開発と運用のプロセス統合・自動化 | サービスの信頼性・可用性 |
| よく使う指標 | デプロイ頻度・変更失敗率 | SLO/SLA・エラーバジェット |
| ツール傾向 | CI/CD・IaC・コンテナ | 監視・オブザーバビリティ・インシデント管理 |
| チームの立ち位置 | 開発チームに近い | 運用・インフラチームに近い |
| 向いている人 | 自動化・効率化が好きな人 | 本番障害の分析・対応が好きな人 |
あなたに向いているのはどちら?
「コードを書いてインフラを自動化したい」という気持ちが強いならDevOpsエンジニアが合います。「本番サービスをどう安定させるかに燃える」タイプならSREが向いています。
どちらも目指せる力がある場合は、まずDevOpsエンジニアとして転職して、SRE寄りのポジションに後から移行するルートがスムーズです。
SREへの転職について詳しく知りたい方は、SREエンジニアへの転職完全ガイドも参考にしてみてください。
DevOpsエンジニアに転職する方法
インフラ経験者が転職する場合
インフラエンジニアとして2〜5年の経験があるあなたには、DevOps転職への近道があります。Linux・ネットワーク・クラウドの基礎は既にあるはずです。
そこにCI/CDツールとTerraformを加えるだけで、多くの企業が求める最低限のスキルセットを満たせます。
具体的に「今すぐ始めること」は3つです。
- GitHub Actionsで簡単なCI/CDを組んでみる:自分のGitHubリポジトリにテスト自動化・デプロイパイプラインを設定する。実務でJenkinsしか触っていない場合でも、GHAは無料で使えて学習コストが低い
- TerraformでAWSリソースを作る:EC2・VPC・RDSをTerraformで管理する練習をする。IaC経験はDevOps転職で強力なアピール材料になる
- Dockerでアプリをコンテナ化する:既存の業務知識とDockerを組み合わせてポートフォリオを作る。KubernetesはDockerの基礎が身についた後のステップとして学ぶと効率的
未経験から転職する場合
完全未経験からのDevOps転職は、直接狙うより「まずインフラエンジニアとして入る」ルートが現実的です。
未経験歓迎のインフラエンジニア求人に応募し、実務でLinux・クラウドを学びながら、DevOpsスキルを積み上げていく方法が最もスムーズです。
ただし、スクールやUdemyでCI/CD・Terraformを学んで簡単なポートフォリオを作れれば、未経験でもDevOps寄りのポジションに入れる企業も増えています。「未経験だから無理」とは言い切れない状況です。
転職活動の具体的な進め方
転職活動は次の順番で進めると、迷いにくいです。
- スキルギャップを把握する:DevOps求人票の「必須スキル」と自分のスキルを比較して、不足している技術を特定する
- ポートフォリオを作る:GitHubにCI/CDパイプライン・Terraformのコードを公開する。README.mdで「何をしたか・なぜしたか」を書く
- 転職エージェントに登録する:IT特化のエージェントに複数登録して、求人の実態をヒアリングする(後述)
- 書類作成・面接対策:DevOps転職の面接では「自動化した経験」「改善の効果」を数値で語れるように準備する
- 内定後の年収交渉:エージェント経由の場合はエージェントを通じて交渉する。「市場相場を調べた上で○○万円を希望します」という言い方が有効
1年間の計画が必要。焦らず進める
転職活動の期間は平均3〜6ヶ月を見込んでください。スキル習得期間を含めると、今日から動き始めて転職が完了するまで1年程度かかることも珍しくありません。焦らず計画的に進めましょう。
インフラ経験者向け転職ロードマップ
「何から学べばいいか分からない」という声が一番多いです。インフラ経験2〜3年の人が転職可能レベルに到達するための具体的なスケジュールを示します。
最初の3ヶ月:スキルギャップを埋める
Linuxとクラウド(AWS)の基礎があるなら、優先して学ぶのは次の4つです。現在地の確認から始めて、週単位で進めていきましょう。
- Week 1〜2:GitHub Actions:公式ドキュメントを読みながら、自分のリポジトリにCI(テスト自動化)を設定する
- Week 3〜4:Docker基礎:DockerfileとDocker Composeを使ってWebアプリをローカルで動かす
- Week 5〜8:Terraform入門:AWSのEC2・S3・VPCをTerraformで管理する。Terraform Cloudを使って状態管理も学ぶ
- Week 9〜12:Kubernetes基礎:minikubeでローカルK8sクラスターを作り、Deploymentとサービスを理解する
3〜6ヶ月:ポートフォリオを作る
学んだスキルを使って、GitHubで見せられるポートフォリオを作ります。成功事例として、インフラ経験3年のAさんは次のようなポートフォリオで内定を取りました。
- GitHub Actionsで「Pythonアプリのビルド→Dockerイメージ化→ECRにプッシュ→ECSへデプロイ」を自動化するパイプラインを構築
- TerraformでAWS環境をコード化し、同じ環境を10分で再現できるようにしたコードをGitHubに公開
- ポートフォリオのREADME.mdに「なぜこの構成にしたか」の設計思想を書く
「完璧なポートフォリオ」を目指す必要はありません。「自分で設計して、動くものを作った」という事実が重要です。
6ヶ月以降:転職活動を始める
ポートフォリオが完成したら、転職エージェントに登録して求人を探し始めましょう。CI/CDの実装経験を詳しく書いたリクルートエージェントの活用方法も参考になります。
面接では「どんな問題があってCI/CDを導入したか」「導入後にデプロイ頻度がどう変わったか」を具体的に語れると評価が上がります。
DevOpsエンジニア転職が難しい理由は?
難しいと感じる3つの原因
「DevOpsエンジニアはやめとけ」という声がネット上にあります。その理由を正直に言うと、以下の3点です。
- 学習範囲が広い:インフラ・クラウド・コンテナ・CI/CD・セキュリティ・プログラミングと、習得すべき技術が多岐にわたる。「全部マスターしてから転職しよう」と思うと永遠に動き出せない
- 求人の実態がバラバラ:「DevOpsエンジニア」という職種名で求人が出ていても、実態はインフラ監視・運用だけという企業が一定数ある(後述の「求人の罠」)
- 未経験者が厳しい企業がある:研修制度が整っていない企業では、未経験者が即戦力として扱われてしまうケースがある
難しさを乗り越えるための現実的な方法
「全部できなくていい」が出発点です。企業が最低限求めるのは、次の3つが実務レベルで使えること、です。
- Linux基礎操作(ログ確認・プロセス管理・シェルスクリプト)
- クラウド(AWS/GCP)の基本的なサービス設計
- CI/CDパイプラインの構築経験(ポートフォリオで代替可)
この3つがあればエントリーできる求人は十分にあります。「全部できないからダメだ」と思わないでください。インフラ経験者なら、最初の2つはほぼクリアしているはずです。
求人選びで失敗する人が多い
「やめとけ」という意見には、「DevOps名目で運用業務だけだった」という転職後の後悔が含まれていることが多いです。求人選びで失敗しないためのポイントを次のセクションで説明します。
DevOps求人の罠と見分け方
転職後の後悔で一番多いのが「DevOpsと聞いていたのに、実態はインフラ監視だった」というケースです。求人票の名称だけで飛びつくと、入社後に「話が違う」となります。
「DevOps名目のインフラ運用」を見分けるポイント
求人票の「DevOpsエンジニア」という肩書きだけで判断してはいけません。以下のチェックリストで求人の実態を確認してください。
求人票の危険サイン
- 業務内容に「監視」「運用保守」という言葉が多く、「自動化」「CI/CD構築」がほとんど出てこない
- 使用ツールがAnsibleのみで、TerraformやKubernetesの記載がない
- 「チームの文化改善」「開発速度の向上」という言及が一切ない
- 「DevOps導入支援」という名目だが、実態はツールの選定だけで設計・実装はしない
良い求人のサイン
- 「デプロイ頻度を上げる」「開発チームと協力して」という具体的な目標が書いてある
- 使用技術にTerraform・Kubernetes・GitHub Actionsが明記されている
- 「Webサービス系」「スタートアップ・メガベンチャー」の企業が多い(SIerより自動化文化が根付いている)
面接で確認すべき質問リスト
書類選考を通過した後の面接でも、実態確認を忘れずに。次の質問を聞くと、企業のDevOps成熟度がかなり見えてきます。
- 「今のデプロイ頻度はどのくらいですか?(週次・日次・複数回/日)」
- 「CI/CDパイプラインは誰が構築・管理していますか?」
- 「インフラのコード化(Terraform等)はどこまで進んでいますか?」
- 「開発チームとの合同ふりかえりはどのくらいの頻度でやっていますか?」
- 「直近1年で廃止した手動作業は何ですか?」
「デプロイはリリース前に手動でチェックします」「まだCI/CDは一部だけです」という回答が多い企業は、DevOps文化の成熟度が低い可能性があります。入社後に「聞いていた仕事と違う」という事態を防ぐには、この確認が有効です。
DevOpsエンジニアの年収相場と上げ方
経験別・企業規模別の年収
求人ボックスの給与統計(2025年)によると、DevOpsエンジニアの平均年収は650万〜750万円程度が目安とされています(実際の年収は企業・経験・スキルセットで大きく変わります)。
| 経験年数 | 年収の目安 | 役割の例 |
|---|---|---|
| インフラ経験から転職(1〜3年相当) | 500万〜700万円 | DevOpsエンジニア(ジュニア〜ミドル) |
| DevOps経験1〜3年 | 650万〜900万円 | DevOpsエンジニア(ミドル) |
| DevOps経験3〜5年 | 800万〜1,200万円 | シニアDevOps・テックリード |
| 5年以上(リード・アーキテクト) | 1,000万〜1,500万円 | DevOpsアーキテクト・プリンシパルエンジニア |
ビッグテック(Google・Amazon・Metaの日本法人等)やユニコーン企業では、上記の相場を大きく上回るケースもあります。一方、SIerやユーザー系企業は同じ「DevOpsエンジニア」でも低め傾向があります。
また、DevOps経験を活かしてさらにキャリアアップしたい方向けの詳しい情報も別記事でまとめています。
転職で年収を上げるコツ
年収交渉で最初にやるべきことは、市場相場の確認です。複数の転職エージェントに登録すると、自分のスキルセットが市場でどう評価されるかが分かります。「御社の規定に合わせます」という言い方は、交渉を放棄しているのと変わりません。
具体的には「doda・リクルートエージェントで○○万円の提示が複数社ありました。御社では○○万円を希望します」という言い方が有効です。複数のオファーを持っていると交渉力が上がります。
転職に使えるエージェントの選び方
DevOps転職に強いエージェントの特徴
DevOps転職に使うエージェントは、「IT・エンジニア特化」を選ぶのが最低条件です。総合型エージェントのアドバイザーはDevOpsの技術スタックを知らないことが多く、求人の実態を見極められません。選ぶポイントは次の3つです。
- 担当アドバイザーがIT・エンジニア転職を専門としているか(ITバックグラウンドがあれば尚可)
- DevOps・インフラ系のエンジニア求人を多く保有しているか
- ポートフォリオのフィードバックや面接対策など、技術的な観点でのサポートが受けられるか
特にJAC RecruitmentはITエンジニアのハイクラス転職に強く、DevOpsエンジニア向けの非公開求人も多数保有しています。年収600万円以上を狙う方に向いています。
複数エージェントを使い倒すコツ
転職エージェントは1社だけでなく2〜3社に並行して登録するのがお勧めです。エージェントごとに保有求人が違うため、1社だけでは見えない求人がたくさんあります。
DevOps転職におすすめのエージェント
IT・エンジニア転職に強いエージェントを厳選しました。複数登録して求人を比較するのがベストです。
ミドル〜ハイクラスのIT・エンジニア転職に強い。外資系・ハイクラスDevOps求人が豊富。
- 年収600万円以上のエンジニア転職に特化
- 外資系・グローバル企業の非公開求人あり
- 技術職に詳しいアドバイザーが担当
業界最大級の求人数。DevOps・インフラ系のエンジニア求人が豊富。まず登録すべき1社。
- IT系求人数トップクラス(非公開含む)
- 書類・面接対策が充実
- 転職活動全体をサポート
エンジニア転職に特化したdoda。スカウト機能で企業からのオファーも受け取れる。
- IT・Web系エンジニア求人多数
- スカウト機能でオファーを待てる
- 転職者満足度の高いエージェント
IT・Web業界特化のエージェント。未経験からITエンジニアを目指す20代向け。Google口コミ★4.8、無料ITスクール付き。
- IT業界に精通したアドバイザーが担当
- 完全無料のITスクール(動画学習)付き
- 一都三県・大阪対応
まとめ:DevOps転職を成功させるポイント
インフラ経験があるなら、CI/CD・TerraformをプラスするだけでDevOps転職の土台が完成します。GitHubで見せられるポートフォリオを作ることが、書類選考通過率を上げる最短ルートです。
求人選びの失敗を避けるために、「DevOps名目のインフラ運用」にならないよう求人票と面接での実態確認が必須。IT特化エージェントを複数登録して求人の質を比較するのが現実的です。
- スキル習得の優先順位:GitHub Actions → Docker → Terraform → Kubernetes
- ポートフォリオで「何をしたか・なぜしたか」を書く
- 求人票の「デプロイ頻度」「CI/CDの実装状況」を必ず確認する
- IT特化エージェント(JAC Recruitment・リクルートエージェント等)を複数登録
- SREとDevOpsの違いを理解して、自分の志向に合ったキャリアパスを選ぶ
あなたのインフラ経験は、DevOps転職の武器になります。「まだ早い」と思わずに、今日から一歩踏み出してみてください。
出典・参考
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2023年)
- GitHub「The State of Open Source and AI」(2023年)
- 求人ボックス 給与統計「DevOpsエンジニア 平均年収」(2025年・目安として参照)