転職で年収は上がるのか、下がるのか。これは転職を考えるすべての人が気になるテーマですよね。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」によると、転職で賃金が増加した人の割合は34.9%。マイナビ転職の2024年調査では約40%が年収アップに成功し、30代の平均アップ額は約47万円でした。
つまり転職者の3人に1人以上が年収を上げている計算になりますが、逆に約3割は年収が下がっています。年収を上げるには、相場を知り、交渉を準備し、求人票の裏側まで読む力が必要です。
「自分の年収って適正なの?」「転職したら本当に上がるの?」そんなモヤモヤを抱えているなら、この記事がきっと役に立ちます。データをもとに、年収アップの相場感から交渉術、見落としがちな落とし穴まで整理していきましょう。
転職で年収はどのくらい上がる?最新データで解説
まず、転職と年収の関係をデータで押さえておきましょう。「なんとなく上がりそう」ではなく、数字で見ると判断がしやすくなります。
年収が増加した人は約35%、厚労省の調査結果
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、転職入職者のうち賃金が増加した人は34.9%、変わらなかった人は29.1%、減少した人は33.9%という結果が出ています。
年収が増えた人と減った人はほぼ同じ割合です。「転職すれば年収が上がる」とは言い切れませんが、「準備次第で十分上がる」のも事実。この差を分けるのは、情報収集と交渉の準備です。
参考: 厚生労働省 令和4年雇用動向調査
年代別の年収アップ額、30代が平均47万円アップ
マイナビ転職の「転職による年収アップの実態調査」(2024年)によると、年代別の年収アップ状況は以下のとおりです。
| 年代 | 年収アップ成功率 | 平均アップ額 |
|---|---|---|
| 20代 | 約38% | 約35万円 |
| 30代 | 約42% | 約47万円 |
| 40代 | 約35% | 約40万円 |
| 50代 | 約28% | 約30万円 |
30代は年収アップの成功率も金額も高い年代です。スキルや実績が十分に蓄積され、即戦力としての価値が企業に伝わりやすい時期だからでしょう。
20代はポテンシャル採用が多く、アップ額はやや控えめですが、成長余地の大きい業界に飛び込めば長期的なリターンが見込めます。
転職時の年収アップ相場は、前職比+10%(約50万円前後)が目安になります。+20%以上のアップを狙うなら、業界を変えるか、専門スキルを武器にする必要が出てきます。
参考: マイナビ転職 転職による年収アップの実態調査(2024年)
年収が上がる人と下がる人の違い
同じように転職しても、年収が上がる人と下がる人がいます。その違いはどこにあるのか。パターンを知っておくと、自分の転職で気をつけるべきポイントが見えてきます。
年収アップに成功する人の共通点
マイナビ転職の調査では、年収アップに成功した人に共通する行動が浮かび上がっています。
年収アップした人がやっていたこと
- 基本給だけでなく、賞与・昇給制度・手当まで確認していた
- 年収交渉を実際に行っていた(交渉した人の約85%が成功)
- 自分のスキルや実績を数字で説明できるよう準備していた
- 転職エージェントを活用し、市場価値の客観的な評価を得ていた
共通しているのは「受け身ではなく、自分から情報を取りに行った」こと。年収交渉をした人の約85%が給与アップに成功しているというデータは心強いですよね。
交渉しなかった理由の多くは「印象が悪くなりそう」という不安ですが、実際には採用側は交渉に慣れています。あとで詳しく触れますが、交渉しないのはもったいないです。
年収が下がりやすい3つのパターン
一方で、年収が下がりやすいケースにも傾向があります。
年収が下がりやすいパターン
- 未経験の業界・職種へ転職する場合(キャリアチェンジ)
- 大企業から中小企業へ移る場合(福利厚生含む総合待遇が下がりやすい)
- ワークライフバランスや勤務地を優先し、年収の優先度を下げた場合
年収が下がること自体は悪いことではありません。「年収150万円ダウンしたけど、やりがいのある仕事に就けて後悔はない」という声はYahoo!知恵袋にも多く見られます。
大切なのは、下がることを想定していたかどうか。想定外の年収ダウンは後悔につながりやすいので、事前のリサーチが欠かせません。
年収ダウンを受け入れるかどうかの判断基準としては、「生活費を差し引いて貯蓄できる余裕があるか」「3年後の年収がどうなるか」「やりがいや働き方の改善が年収減を補えるか」の3つを軸にすると整理しやすいです。
なお、転職で年収が下がった場合に申請できる「就業促進定着手当」という制度もあります。ハローワーク経由で再就職した人が対象で、前職との賃金差額の一部を最大6カ月分受け取れます。条件に当てはまりそうなら、ハローワーク公式サイトで確認してみてください。
見かけの年収に騙されない、年収の内訳を理解しよう
求人票に「年収600万円」と書いてあっても、その中身はさまざまです。同じ年収600万円でも、基本給が40万円の会社と22万円の会社では、手取りも将来の待遇もまるで違います。
基本給・手当・賞与・残業代の仕組み
年収を構成する要素を分解してみましょう。
| 要素 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 基本給 | 毎月固定で支払われる給与のベース | 社会保険料・退職金・残業代の計算基盤になる |
| 各種手当 | 住宅手当、資格手当、役職手当など | 会社都合で廃止されることがある |
| 賞与(ボーナス) | 年2〜3回の一時金 | 業績連動の場合、大幅カットのリスクあり |
| みなし残業代 | 月○時間分の残業代を固定で支給 | 超過分が支払われるか要確認 |
Yahoo!知恵袋には「年収600万から700万に上がったはずが、基本給が40万円から32.6万円に下がっていた」という相談があります。
年収の総額は上がっても、基本給が下がると退職金や社会保険の等級にも影響が出ます。賞与の比率が高い会社は、業績悪化で年収が一気に落ちるリスクもあります。
「見かけの年収」と「実質の年収」は違う
基本給30万円で賞与4カ月の年収600万円と、基本給22万円+手当8万円で賞与6カ月の年収600万円。前者のほうが退職金・社会保険の面で有利です。年収の「額面」だけでなく「中身」を確認しましょう。
求人票の年収欄で確認すべきポイント
求人票を見るときは、年収の数字だけでなく以下の項目をチェックしてください。
- 基本給の金額(月給に含まれるみなし残業代を差し引いた額)
- 賞与の支給回数と過去の支給実績
- 昇給制度の有無と昇給率の目安
- みなし残業の有無と対象時間数
- 想定年収の計算根拠(残業何時間を含むか)
とくに「想定年収○○万円〜○○万円」の幅が広い求人は注意が必要です。下限の数字が実態に近いケースが多いので、面接時に「この想定年収はどういう条件で計算されていますか」と確認するのがおすすめです。
手取りの具体的な金額が気になったら、手取り計算シミュレーターで基本給と賞与を入力して試算してみてください。
年収交渉は怖くない?成功率85%の交渉術
年収交渉と聞くと「面接で印象が悪くなりそう」と身構える人が多いです。マイナビ転職の調査でも、交渉しなかった理由の上位は「印象が悪くなることへの懸念」でした。
でも、交渉した人の約85%が実際に年収アップに成功しています。やらないほうがもったいないんです。
交渉のベストタイミングと伝え方
年収交渉のタイミングとして最も多いのは「一次面接」で、次が「内定後〜入社承諾前」です。
交渉のタイミング別ポイント
- 一次面接: 希望年収を聞かれたら、根拠を添えて具体的な金額を伝える
- 最終面接: 条件面の話題が出やすい。この段階で希望を明確にしておく
- 内定後(承諾前): 最も交渉しやすいタイミング。複数内定がある場合は交渉材料になる
大事なのは、内定を承諾する前に交渉すること。承諾後の交渉は難しくなります。Yahoo!知恵袋でも「内定後に年収大幅ダウンが判明し、交渉したい」という相談がありますが、面接時に確認しておくのがベストです。
年収交渉の希望額の平均は約612万円というデータもあります(マイナビ転職調査)。現在の年収より高い金額を希望すること自体は普通のことで、採用担当者も慣れています。
希望年収の伝え方、セリフ例つき
具体的にどう伝えればいいか迷う人も多いでしょう。以下のような伝え方が自然です。
年収交渉のセリフ例
「現在の年収は○○万円です。御社での業務内容と、これまでの○○の経験を踏まえると、○○万円を希望しております。もちろん、御社の給与体系に沿って柔軟に考えています」
ポイントは3つ。現在の年収を正直に伝えること。希望額に根拠(スキル・実績)をつけること。「柔軟に考えている」と添えて一方的な印象を避けること。
Yahoo!知恵袋でも採用担当者から「希望額は普通に伝えてもらって構わない。企業側で判断する」という回答が寄せられています。
年収交渉が苦手なら、転職エージェント経由で交渉してもらう方法もあります。エージェントは企業との交渉に慣れているので、自分で言いにくいことも代わりに伝えてくれます。年収交渉の詳しいテクニックは年収交渉のコツ・テンプレート集でまとめています。
年収アップしやすい業界・職種ランキング
同じスキルでも、どの業界・職種を選ぶかで年収は変わります。年収の高い業界を知っておくと、転職先の選択肢が広がります。
高年収が狙える業界トップ5
リクルートダイレクトスカウトの2024年データをもとに、年収水準の高い業界をまとめました。
| 順位 | 業界 | 平均年収目安 |
|---|---|---|
| 1位 | 監査法人・コンサルティング | 約850万円 |
| 2位 | 金融(証券・投資銀行) | 約800万円 |
| 3位 | IT・通信 | 約650万円 |
| 4位 | 製薬・医療機器 | 約620万円 |
| 5位 | 総合商社 | 約600万円 |
IT・通信は人材不足が続いており、未経験からでもポテンシャル採用で入りやすい業界です。
コンサルティングや金融は経験者を求める傾向が強いものの、年収の上限が高い分、キャリアを積むほどリターンが大きくなります。
参考: リクルートダイレクトスカウト 転職で年収アップする人の割合とは?
未経験でも年収アップを狙える分野
今の業界から別の業界に移りたいなら、以下の分野は未経験者の受け入れに積極的です。
- ITエンジニア(特にインフラ・SaaS系): 人材不足が深刻で、研修制度が整った企業が多い
- 法人営業(SaaS・コンサル): 営業経験があれば業界が変わっても評価される
- 介護・福祉(管理職候補): 需要が高く、マネジメント経験があれば年収アップしやすい
未経験の業界への転職では、入社時の年収が下がることもあります。でも、3年後・5年後の年収を見据えて「伸びしろのある業界」を選ぶ視点が大切です。
年収帯別の戦略をもっと詳しく知りたい場合は、年収500万円への転職戦略も参考にしてみてください。
転職後も年収を上げ続けるためにできること
転職時の年収だけに目を奪われると、入社後に「昇給しない」「評価制度が合わない」と後悔するケースがあります。長い目で見た年収アップのために、入社前に確認しておきたいことがあります。
入社時の年収より3年後の年収を見る
マイナビ転職の調査によると、転職者が現在の会社に勤め続けた場合、5年後は現在より平均127万円の昇給を予想しています。
つまり、入社時の年収が少し低くても、昇給ペースの速い会社を選べば数年で逆転する可能性があるということです。
面接で「入社後の昇給イメージを教えてください」「評価制度はどのような仕組みですか」と聞くのは、まったく失礼ではありません。むしろ、長く働く意欲の表れとして好印象になることが多いです。
昇給制度と評価制度の確認方法
入社前にチェックしたい項目はこの3つです。
- 昇給の頻度と平均昇給率(年1回か年2回か、定期昇給の有無)
- 評価制度の種類(目標管理制度、360度評価、コンピテンシー評価など)
- 等級制度の有無(どの等級でどのくらいの年収レンジか)
口コミサイトで「昇給が年1,000円しかない」という情報を見かけたら要注意です。逆に、「成果を出せば年100万円以上の昇給も可能」という企業もあります。
入社後の年収の伸びは、入社時の年収と同じくらい大切な判断材料です。
転職先を決める前の最終チェック
- 基本給の金額とみなし残業の有無を確認したか
- 賞与の支給実績(過去3年分)を聞いたか
- 昇給制度と昇給率の目安を確認したか
- 評価制度の仕組みを理解したか
- 3年後の年収イメージを自分なりに計算したか
まとめ、年収アップは準備次第で手が届く
転職で年収が上がる人の割合は約35〜40%。相場は前職比+10%が目安です。年収交渉をした人の85%が成功しているので、交渉しないのはもったいないです。
あなたが今日からできることを整理しておきましょう。
- 自分の市場価値を転職エージェントに聞いてみる
- 求人票の年収欄は「基本給」「賞与実績」「みなし残業」まで確認する
- 希望年収は根拠をつけて、堂々と伝える準備をする
- 入社時の年収だけでなく、3年後の昇給イメージまで考える
年収が上がるかどうかは、運ではなく準備の差です。今このタイミングで情報を集めているあなたは、すでに正しい方向に進んでいます。焦らず、一つずつ確認していきましょう。